2017年9月5日火曜日

司法試験刑事系―刑事訴訟法

 近年、易化傾向にある刑事訴訟法ですが、捜査法は考査委員好みの演習書、「事例演習刑事訴訟法」をこなすことが肝要です。
 同書ではあっち行ったりこっち行ったりと色々と書かれていますが、要するに何なのかということを端的にまとめておけば良いのです。
 規範はシンプルなものにしましょう。
 とにかく時間がないですから。
 証拠法については、申し訳ないのですがまともな演習書を知りません。
 「司法試験論文過去問 LIVE解説講義本 刑訴法」やローでの講義を参考にしながら、自分なりのパターン処理法を身に付けて欲しいものです。
 実を言えば、最も苦手で、最も悪い成績だったと思われます。適当ですみません。

司法試験刑事系―刑法

 刑法については、「刑法事例演習教材」以外をやる方はいるんでしょうか?とだけ書いておけば良さそうな気もしますが、一応言っておきますと、「刑法事例演習教材」一択です。
 先輩の結婚式で司法試験考査委員主査の方とお話する機会があったのですが、これを土台として、組み合わせながら作問しているようです。
 ロー入試では特にこの点が顕著です。
 これ以外をやってる人がいないということを前提にして、やり方にこだわることが次に大事になってきます。
 そこで有益なのが、「刑法事例演習教材 答案例・解答例」です。
 詳細は、リンク先での宣伝に譲りますが、限られた時間を有効に活用するためには、先人の知恵を利用するべきです。
 同書を利用する際に注意したいことは、「基本刑法 総論」・「基本刑法 各論」と共に学習することです。
 正直な話、基本刑法以外の基本書は憲法同様、趣味の世界だからです。
 ちなみに、自慢ですが、おそらく刑法のおかげで、刑事系では一桁順位の成績をゲットしました。

司法試験民事系―民事訴訟法

 司法試験本番2日目が終わると、多くの人が絶望します。
 一体何を書けば良かったのかと思い悩むという感じです。
 こういった経験をこじらせて、民事訴訟法の学習をおかしな方角に向けてしまう方が多いのですが、基本となる原理原則をしっかりと身に付けるようにしましょう。
 誰もが知っているであろう当たり前のことをまず書けるようにして下さい。
 「読解 民事訴訟法」は、原理原則の説明を丁寧に行っており、しかもその多くが受験生がつまずきがちなところを対象としています。
 同書を利用すれば、原理原則を土台として、応用的な問題にも対処できるようになるはずです。
 ちなみに、東大ローの同期に勅使河原ゼミ出身者がいるのですが、わかりやすいということを理由に某権威に叱られたそうです。
 自ら成仏して欲しいものです。
 なお、要件事実的思考方法は、民訴でも民法でもその他の科目でも大切になるので、要件事実入門は必読です。

司法試験民事系―会社法

 短答がない会社法ですが、余裕がある人は短答学習の対策をして置くべきだと思います。
 つまるところ、会社法においては手続的瑕疵の発見が全ての始まりだからです。
 これに気付かなければ、その後の対応策を知っていたとしても全く意味がありません。
 こういった観点から論文対策として「S式択一条文問題集 会社法」をオススメします。
 その上で、純然たる論文対策としては、「事例で考える会社法」または「事例研究 会社法」が適当でしょう。
 いずれも司法試験本番に類似する作問となっています。

司法試験民事系―民法

 民法は、インプット学習を怠ってはいけません。
 一冊または数冊で民法全体の学習を早期に行う必要があるわけですが、この点については、パンデクテン方式のメリット・デメリットを論ぜよとする東大ロー入試問題を研究して下さい。
 個人的なオススメ基本書を示すと、「民法の基礎 総則」・「民法の基礎 物権」・「担保物権法」・「債権総論」・「基本講義 債権各論 契約法・事務管理・不当利得」・「基本講義 不法行為法」となります。
 正直、定評のある基本書であればどれでも良いのですが、債権総論についてだけは、上記「債権総論」を強くオススメします。
 なぜかというと、他の債権総論の基本書はボリュームが異常であり、間違いなく挫折するからです。
 その上で、民法を得意科目にするためには、ひたすら問題演習をこなすことです。あの考え方をここでも使えないだろうかという視点を育むためには、「事例で学ぶ民法演習」→「事例から考える民法」が適切です。
 「事例で学ぶ民法演習」は、青柳事件以前の考査委員、池田先生による著作ですが、問題文は短く、解説はわかりやすく、あてはめは丁寧です。
 「事例から考える民法」は、現在の考査委員、佐久間先生による著作ですが、司法試験本番に類似する作問となっています。
 これら2冊をこの順でこなすことで、司法試験に必要な論点抽出能力と論述展開能力が鍛えられることと思います。

司法試験公法系―行政法

 行政法は、とりあえず「事例研究 行政法」をやるという方が多いのですが、その前にまず「行政法 基礎演習」をこなしましょう。
 行政法学習の特徴は、憲法の場合と似たようなところがありますが、行政法は何よりもアウトプット学習中心主義にならなければなりません。
 「行政法 基礎演習」は、手取り足取りで書き方を教えてくれます。
 土田先生とは個人的な知り合いなのですが、ゴミ答案で溢れてる現状を嘆き、同書を執筆したとのことです。
 実際、合格者のレベルはとても低く、当たり前のことが書ければそれだけで跳ねます。
 同書を終えてから、「事例研究 行政法」または「行政法 事案解析の作法」で実践を積んでください。

司法試験公法系―憲法

 学習時間を削るべき科目はいずれかと聞かれれば、それは間違いなく憲法だと答えます。
 深く学ぼうとすれば限りがなく、また、費用対効果が最も悪いからです。
 過度なインプット学習は全く無意味です。
 大学受験で言えば、漢字練習のようなものにしかなりません。
 学習を必要最小限にするため、「憲法の流儀」をオススメします。
 詳細は、リンク先での宣伝に譲りますが、比較的短時間で、書くことに意識を置いた学習をすることができます。
 また、近年難化傾向にある憲法の短答対策として、重箱の隅をつつくような学習をしてしまう方がいますが、大事なのは民法を得点源とすることです。
 皆ができる基本問題を取りこぼさないようにすれば足ります。
 ちなみに、飲み会で伊藤健さんに会うチャンスがあったのですが、風邪のため会えませんでした。

はじめに

 かつて、LSCの副管理人をしていた者です。
 現在はLSCとは何の関係もなく、司法修習を楽しんでおります。
 現管理人から依頼があったため、下記の通り、オススメ教材について執筆します。
 現運営者は色々と苦労しているようですが、色々と悩んでる皆さんの手助けになればと思います。
 自己紹介については、慶應法卒・東大ロー修了とだけ言っておきますが、成績は微妙でした。
 他方で、司法試験では、総合二桁順位の成績を確保することができました。